ICCトヤマの活動

平成17年10月研修旅行報告
建築、芸術の島 「直島」 を訪ねて・・・

日 時 平成17年10月30日(日) ~ 平成17年10月31日(月)
実施内容 安藤忠雄の建築探訪
場 所 直島(香川県直島)
地中美術館、家プロジェクト、シーサイドパーク
猪熊弦一郎現代美術館、ベネッセハウス 等

今年の研修旅行は、島全体でアート活動を展開している 「ベネッセアートサイト直島」 を訪問しました。そこには 昨年オープンした安藤忠雄氏の 地中美術館、ベネッセハウス、家プロジェクト、シーサイドパークなどなど・・・  あの世界の安藤の建築を体で感じてきました。
 
まず最初に訪れたのが 『地中美術館』 2004年7月に開館した 財団法人直島福武美術館財団が運営する美術館です。
安藤忠雄氏の得意とする コンクリート、鉄、ガラス、木を使い 地上にはわずかにコンクリートの輪郭が見えるだけ・・・ 地上に立ち上がる外観のデザインをさけ、地中だけで構造体をつくりあげたそうです。中には クロード・モネの「睡蓮」が展示され、素晴らしいのは自然光のみで鑑賞することができる点です。ほんとに真っ白な空間のなかに睡蓮が浮かび上がっていました。また 光そのものをアートとして提示するジェームズ・タレルの あの金沢21世紀美術館にもあった 「タレルの部屋」 と同様な空間も表現されていました。他にも ウォルター・デ・マリアや 目の前に広がる瀬戸内海の美しい景色を眺めながらお茶をするなど、自然と人間の共存を感じさせる美術館でした。

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次に訪れたのが 『家プロジェクト』
古い家屋を改修してそれぞれのアーティストが家の空間そのものを作品化したプロジェクトです。
明日はお休みとあって 「何が何でも今日のうちに…」 の情熱が通じて もう閉めかけていた「角屋」をみせていただきました。外観に漆喰、焼板を使い 内部は薄暗い中に赤い光が点在する不思議な空間が表現されていました。「護王神社」は 石室と本殿がガラスの階段で結ばれていて 地下と地上が一つの世界を形成していることを表現しているもの、「南寺」は 窓のない建物の中に入ると 真っ暗な空間の中にかすかな光を感じさせることで かつてここにあったお寺が人々の心の拠り所であったことを表現しているものだそうです。残念ながら見学時間が16時までということで外部しか見ることができませんでした。 みんなで 「やっぱりのんびりしてるというか、田舎というか、商売っけがないというか・・・」などど 愚痴ともため息ともつかぬ思いをひきずりながら 宿泊先であるベネッセハウスに向かいました。

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すばらしき 『ベネッセハウス』
残念な思いを胸に ベネッセハウスからのお迎えのバスに揺られてシーサイドパークの前を通り過ぎる頃はもう夕暮れもせまり 瀬戸内海は残り少ない太陽の光や浜辺に点在するオブジェをライトアップする光で大変美しく その先にあるベネッセハウスに期待が高まりました。
ベネッセハウスは 「自然・建築・アートの共生」 をコンセプトに安藤忠雄氏により設計された建物です。外に向かって大きく開かれた構造で 室内にいても常に自然を感じることができます。建物、それを取り巻く空間すべてが美術館のように アーティストたちの作品は展示スペースだけでなく 館内のいたるところ 施設のまわりの海岸線や林の中にも表現されています。
 
客室にはテレビもなく聞こえるのは風の音、海の音・・・ 静かにゆったりとした時間が流れていきます。
普通は・・・!!
そこは ICCのメンバー、海外のゲストも多いメインダイニングで 相変わらずのマイペースです。
ワインがみるみるうちに空いていきます。美味しい食事とそれにぴったりのワイン、すばらしいゲストハウス・・・ ほんとにきて良かった~と思えるひと時でした。

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翌日は 『猪熊弦一郎現代美術館』 と 『讃岐うどん』
朝、あんなにたっぷり朝食をとったのにやっぱり話題は食べること、ここでも 「何が何でも讃岐うどん・・・」 乗り継ぎの合間をぬって念願達成!です。
丸亀駅に到着すると目の前に美術館が建っていました。普通ならデパートかホテルが建つような場所に建っていることに疑問を感じる人も多いはずです。これは谷口吉生氏とピーター・ウォーカー氏の共同プロジェクトのもっとも大きなテーマである 「駅と美術館をいかに効果的に接続させるか」 というところにあるようです。
 
印象的なゲートプラザには 猪熊画伯がデザインした赤、黄、黒色の3つの巨大なオブジェが設置されています。エントランスは 茶室をイメージした小さな正面入り口を入ったところにありますが 中に入ると3階までの大きな吹き抜け空間が広がり その対比に驚かされます。

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今回の旅では 喧騒を離れ静かに時が流れる空間、自然とアートが共存する空間につつまれ 静寂や自然やアートがこんなにも心を癒してくれるのか・・・ということを肌で感じることができました。今度ここを訪れるときは もっとゆっくり滞在して、頭のてっぺんからつま先までこの空間にとっぷりと浸ってみたいと思ったのは私だけではなかったのではないでしょうか・・・

( 石岡 記 )